古民具・時代箪笥・骨董・ガラスケース、蔵戸や格子戸などの建具・時代家具、古民具・時代箪笥なら茨城県常陸太田市のAntique Gallery 和音
時代箪笥と呼ばれる和箪笥の歴史は、骨董品の代表格の陶磁器のように古い時代までさかのぼるわけではありません。ごく一般的に庶民の生活用品として使用されるようになったのは、江戸時代の中期くらいだと言われています。
江戸中期くらいになりますと、社会も安定し商業・工業、共に発展し庶民の生活も向上するに伴い箪笥が普及していきました。そして明治期に最盛期を迎え、その後は西洋文化の流入や生活様式の変化により昭和初期にはほとんど作られなくなりました。歴史としては比較的浅く短いものでしたが、素晴らしい箪笥が生み出されました。
箪笥は有名な船箪笥を始めとし、用途により衣装箪笥、帳場箪笥、刀箪笥、薬箪笥、水屋箪笥、茶箪笥など様々な種類のものが製作されました。形態によっては、階段と収納スペースが一体となった階段箪笥(箱階段)や、重い物を収納していても容易に運べるように、下部に車輪のついた車箪笥など希少な物もあります。
衣装箪笥などは主に嫁入り道具として制作されたといわれています。当時の決して豊かではない時代に、娘を送り出す親の気持ちに応え名もない職人がプライドを持って手作業で制作したものだからこそ大量生産の物には出せない、特別な美しさがあるのだと思います。
また、時代箪笥の大きな特色としてはほかの家具には類例を見ないほどの地方色の豊かさが挙げられます。
有名な箪笥の産地としては、新潟県佐渡地方の佐渡箪笥、山形県庄内地方の庄内箪笥、同じく山形県米沢地方の米沢箪笥、岩手県奥州地方の岩谷堂箪笥、宮城県仙台地方の仙台箪笥、福島県二本松地方の二本松箪笥、長野県松本地方の松本箪笥、福井県三国地方の三国箪笥、滋賀県近江地方の近江水屋箪笥などがあります。その他にもここには書ききれないくらい、地方色豊かな素晴らしい箪笥があります。
時代箪笥の魅力は数多くありますが集約すると、やはりすべてが本物であるということだと思います。
時代箪笥は、主に木材、金具、漆の三つの部材からできていますが、その部材のどれをとっても、現代では考えられないほどの手間暇をかけて形にしていったものです。過去と現代の物価を単純には比較することはできませんが、古い時代の箪笥を現代において作らせればおそらく100万円以上の大変な金額になると思います。
吟味した素材を使い、熟練の職人の作り込みも素晴らしく、そして長い年月を経て色あせるどころかますます本物ならではの味わい深い輝きを増す。このようなものは現代においてそれほど多くないのではないのでしょうか。
西洋の家具のように華やかで雅な雰囲気はありませんが直線的で無駄のないデザイン、質実剛健でありながら、天然素材のぬくもりを感じさせてくれる日本人らしい家具だと思います。
食文化や芸術、伝統工芸、建築など日本には世界に誇れる文化が数多くありますが、時代箪笥もまた堂々と世界に誇れる文化の一つだと思います。
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